最後の社主 朝日新聞が秘封した「御影の令嬢」へのレクイエムを読んで



 樋田 毅 『最後の社主 朝日新聞が秘封した「御影の令嬢」へのレクイエム』(講談社、2020年)

 一気に読んでしまいました。主人公の村山美智子さんは朝日新聞社を創業した村山龍平氏の孫にあたる。株式も所有しており朝日新聞社の3代目社主である。先日(2020年3月3日)満99歳で亡くなられましたがその村山美智子さんの伝記です。

 創業家と経営陣との間に生じた闘いがメインになっているが、私は村山美智子さんが大阪国際フェスティバルに私財をつぎ込み、多大な尽力を尽くされたという話に感動しました。
 カラヤン、ストラヴィンスキー、ロストロポーヴィッチ、小澤征爾など世界中の音楽家から全幅の信頼を寄せられており、小澤征爾さんは村山美智子さんのことを「ミッチー」と呼んでいたそうで、

「誰より親身に世話してくれた。太っ腹で、芸術を愛する素晴らしい人だった。感謝しても感謝しきれない」

帯より

 著者は元朝日新聞社に勤務していた人で、大株主の村山家から経営陣がどう株式を処分させていくのか・・・。本書の後半部分に水面下の工作を含め詳細に書かれています。