「美しく、強く、成長する国へ」を読んで



 自民党総裁選挙に立候補している高市早苗議員。彼女の著書である「美しく、強く、成長する国へ」を買って読んでみた。9月21日に発売された本だが、発売前から注目されていて、Amazonでは発売前にも関わらずランキング一位と注目度がかなり高い本だ。
 内容の方といえば、彼女が考える国家観が書かれており、特に経済を中心に書かれてある。読んでみて成る程と思う事が多く、共感させられる部分がとても多いので、私もつい応援したくなってきた。しかし総論的な部分についてはアベノミクスを継承するという事から、そのアベノミクスを振り返ってみると、上場企業の株価は成る程軒並み高い水準になり、一応の成果はあったと思う。しかし個人に目をやると年収は下がる一方で、先進諸外国と比較してみても日本だけが個人の収入が減少している状況で、個人の収入を上げてもらう政策をとって欲しいものだと感じた。安倍首相は「二〇一三年に一人当たり国民総所得を十年後には一五〇万円増やす事ができる」と言っていたが、少しも増える事なく、逆に減っている状況に陥っている。現状を見ると所謂富裕層や国際金融家だけが潤っているようでは、日本の未来は明るくない。個人所得の向上を犠牲にしてまで富裕層だけ潤うような政策では、たとえ彼女が総裁選挙に勝って総理大臣になっても全く個人所得の向上など期待は持てない。
 高市早苗議員の一つ一つの考え方や経済政策は個人的には良いと思うが、方向性を今まで通りアベノミクスの継承だけで進むのではなく、個人が少しでも潤うような方向性に舵を切ってほしいと願いたい。