あの時偶然同じ場所にいた



あの時偶然同じ場所にいた

 よくある話でコンサートや祭り、イベントなどにお出掛けをし、数日から数年後、友達同士でワイワイガヤガヤ談笑している時に、「○○のコンサートに行ってきて最前列の席から観ていた」。すると別の友達が「実は私もその日の○○のコンサートに行ってた」という会話がよくある。その時には顔を鉢合わせなかったが、後の話で同じ場所にいたんだね!というパターン。
 そのパターンが最近私にも久しぶりに訪れてきて、今回の話の同じ場所というのが京都競馬場。ここまでなら競馬好き同士ならよくあるパターン。しかし今回はナリタブライアンという名馬の最後の3冠レースに王手をかけた菊花賞というレースの特別指定席だかSラウンジだか忘れたが、何しろ一番高い席(値段も一番高く座席のシートも最上階)が高倍率なんだが抽選で当たって観戦する事が出来たという話。
 ナリタブライアンは皐月賞、ダービーを勝って最後の3冠の菊花賞が1994年11月6日で京都競馬場で行われ、3.000Mを3:04.6で駆け抜け、2着のヤシマソブリンに7馬身差をつける圧勝のレースだった。この日は小雨で芝コースは稍重。真っ白なシャドーロールを付けたナリタブライアンの顔には泥が飛んで来たのだろう、白いシャドーロールが泥で黒ずんでいたのを鮮明に覚えている。
 そのナリタブライアンが3冠を達成したその日に京都競馬場の一番高い席で観戦していたという人が同じ会社にいたんです。私と同じ価格帯のシートに座って観戦していたようで、1994年なのでもう29年も前の話になるが、「もしかして顔を合わせていたかもしれませんね」というような話と競馬の話で盛り上がったという事。
 その人とはあまり会話をする事はなかったが、たまたま事務所でナリタブライアンという名前が出たもので、そこから会話が発展して同じ舞台で3冠最後のレースを観ていたという偶然が人間同士を近づけてくれたようで何だか嬉しい気持ちになってきたのである。